クレジットカードの審査はどのようにして行われるか?

今や普段の生活のさまざまな場面で使われているクレジットカードですが、その歴史は1950年代にまでさかのぼります。
手持ちの現金がなくてもツケでレストランで食事ができるよう事前に有志がお金を出し合い、その証明に紙製のチケットを発行したのが始まりだとされています。
もっとも、似たようなシステムは19世紀ごろからすでにあったとされていますが、いずれにしても現金なしで商品を購入したりサービスを利用したりして、代金は後日精算するというのが基本的な仕組みです。
現在では街中の商店などで使えるほか、特に売り手と買い手が直接対面しない通信販売の分野での普及が進んでいます。

クレジットカードにおいては利用者に対する信用が非常に重要

こうしたシステムの特徴から、クレジットカードにおいては利用者に対する信用が非常に重要な要素となります。
後払いを原則とする以上、商品の購入やサービスの利用とその代金の支払いとの間には常にタイムラグが生じます。
つまり、所定の期日が来たら代金を確実に支払ってもらわなければ、システムが円滑に機能しないわけです。
もし代金を支払ってもらえない場合、時間が経っても価値が損なわれない商品であれば返還を求めれば問題は解決しますが、場合によっては返還に応じず、購入者がどこかに姿をくらましてしまうおそれもあります。
また、そもそもレストランにおける食事の提供などの場合は、返還してもらうこと自体が不可能です。
そのため、クレジットカードシステムへの加入時すなわちカードの発行時には、利用を申し込んできた者に対して発行者すなわちカード会社が審査を行い、後払いシステムを利用させても大丈夫かどうかをチェックする必要が生じることとなります。
そして審査にパスした者だけが、カードの発行を受けられます。

クレジット会社が実際にどのような審査を行っているか?

それでは、クレジット会社が実際にどのような審査を行っているかというと、大きく分けて「本人の属性」と「信用情報」の2つについてチェックされるのが基本です。
具体的な手法は会社ごとに異なりますが、おおよそのところは共通しています。

本人の属性

まず「本人の属性」とは、利用を申し込んできた者がどのような人物であるかを調べるというものです。
チェック項目としては、氏名・年齢・職業・勤続年数・年収・住居の状況・家族構成などが挙げられます。
このうち氏名や年齢、職業などは本人の身元が確かかどうか(偽名を使用したりしていないか)をチェックするための項目ですが、勤続年数や年収は支払い能力が十分にあるかどうかをチェックするために必要な項目となります。
また、現在の住まいが持ち家であれば、代金を支払わずに姿をくらましてしまうといったリスクが減る一方、多額の住宅ローンを抱えていれば、その分だけ支払い能力が下がると考えられます。
こうしたことから、住居の状況も重要なチェック項目の1つとなります。

信用情報

「本人の属性」が、申込者の現在の状況を調べるのに対し、もう1つの「信用情報」は、申込者の過去の経済状況などを調べるためのものです。
具体的には、金融機関のローンや携帯電話など、クレジットカードと同じように「先に利用して後から支払う」各種サービスの利用履歴が対象となります。
こうした履歴は、カード会社や金融機関などが加盟する信用情報機関と呼ばれる団体によって管理されています。
加盟各社は利用の申込みがあった時点で該当者にかかる情報を取り寄せ、過去に支払いの遅延や不払いといったトラブルがなかったかどうかなどをチェックします。

クレジットカードの審査の細かい基準について

ここで問題となるのは、では年収がいくら以上ならOKなのか、支払い遅延は過去に何回以上あったらいけないのか、などの細かな基準です。
利用を申し込む側としては、基準があらかじめ分かっていれば準備がしやすくなります。
しかしながら、ほとんどのカード会社では具体的な基準を公開してはいません。
これは、身分の偽装などを事前に防止するためですが、加えてもう1つ、最終的にカードの発行が認められるかどうかは総合的な判断によるところが大きいという理由があります。
たとえば年収が高くてもそれ以上に多額のローンを抱えていればそれだけ支払い能力が低いと見なされますし、逆に本人の年収が低くても身元のしっかりした配偶者や保護者がいれば信用度は高まります。
こうしたことから、一律の基準をあらかじめ公開するのは難しいのです。

まとめ

これらのチェック項目は、書類によって審査されるのが通例です。
たとえば本人の氏名等は運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書類で、年収は源泉徴収票や課税証明書で、といった具合です。
職業については、勤務先に電話をかけるなどして在籍確認をすることもあります。
一方、信用情報についてはカード会社が信用情報機関から直接データを取り寄せるので、申込者本人が書類を提出したりする必要はありません。
その代わり、本人がデータの内容を知ることもできません。
そこで、各信用情報機関では、自らデータをチェックできる開示請求制度というものを設けています。

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